収益不動産の収入が上がらない最も大きな原因は、空室が多い(稼働率が低い)ということです。
オフィスビルマーケットは、テナント(企業)の移転需要と空室在庫(ストック)との需給バランスにより、貸し手市場・売り手市場が形成されます。
近年は「近」(駅から近い)、「新」(築年数が新しい)、「大」(フロア面積が大きい)というキーワードで移転先を探すケースが多く、築年数が経過している中小規模のオフィスビルは苦戦を強いられており、優劣の二極化が進んできています。さらに、震災以降「防災・減災」への対応ニーズも増加しており、今後益々ビルの選別化が進んでいくと予想されます。
このような市況化において、中小規模のビルが今後生き残っていくためには、マーケット調査をはじめ、対象不動産のマーケットにおけるポジションを見極め、強み、弱みを分析した上で、募集ツールや募集方法を改善し、成約率を上げていく必要があります。
また、情報にも鮮度があります。古くなった情報には誰も反応を示してくれません。常に鮮度の高い情報を発信し続けるとともに、その反響を分析し適切な対処をすることで情報の劣化を防ぎ、必要があれば適切なバリューアップ改修を施したりと、一歩、二歩と先回りした行動が空室を減らすことにつながります。
不動産賃貸業は「空間を貸す」業ですが、「時間を貸す」業でもあります。つまり、空室区画の賃料は、将来二度と回収されることはありません。空室対策は早ければ早いほど良いでしょう。
なかなかテナントが決まらない・・・。
空室が発生してから、テナントが決まるまでのプロセスに着目して簡単に分析してみましょう。
この7つの段階でどこに問題があるのか検討していきます。
頻繁に空室が発生する場合
テナントの移転には様々な理由があります。テナントに起因する、面積の増減や立地戦略などもあれば、入居ビルに対する不満に起因する理由も多いものです。設備、快適性、管理への不満も移転を促す大きな要因となっています。
ハード、ソフトの両面からテナントの流出に繋がる要素がないかを検討し、日頃から対策を行っておくことが大切です。
またマーケットに応じて、柔軟な価格設定によりテナントを引き留めることも、非常に重要な施策となります。
募集をかけたがお問い合わせが少ない場合
問い合わせが少ないというのは、
①そもそも情報が広く行きわたっていない
②競合と比較し問い合わせをする魅力がない
という点が上げられます。
①の場合は、テナント募集告知方法を変更することによって改善されると思われます。
例えば、広告する仲介業者は適切か?業者への電話・訪問回数を増やす。広告内容をわかりやすくする。などです。
②の場合は、競合エリア内で対象物件がどう評価されているかを認識することが必要です。
お問い合わせは入るが、内見が少ない場合
内見が少ない理由は、
①テナント候補が見たいと思わないこと
②仲介会社も見せたいと思わないこと
が考えられます。
①の場合、テナント候補が手にする資料は綺麗で整っているか?自分のビルの写真写りや写真の枚数は十分と言えるか? 図面は営業マンの手元に届いているか?ここに移転したい思うか?役員や社長を説得する材料が揃っているか?
など、物件の情報を印象良く、整理した上でテナント候補に届いているのかを調査しなければなりません。
次に、
②の場合、物件を紹介する営業マンが、テナントの要望や質問に応えられる材料を持っているか?この物件をよく知っているか? 賃料等の条件が妥当もしくは割安か?オーナーや窓口は進めやすい体制か?報酬はもらえるのか?
など、営業に対する体制についても見直す必要があります。
内見はあるが、価格交渉に進まない場合
テナント1社が現地確認する物件は、おおよそ5~15件くらいです。その中から最終候補に残るのは3~5件です。その段階になって初めて価格交渉が入ります。
最終候補にならないのは、
①資料(期待値)と現地のギャップがある。
②競合に比較して費用と物件のバランスが劣る。
ためと考えられます。
これらの場合、「物件や環境で問題がある点についてテナント目線で把握」したり、「テナントの印象に直結する箇所を洗い出し、自分たちの努力によって解決できる箇所は改修を施す」ことを検討すべきでしょう。そして、「設定賃料を下げるか?」「物件の価値を上げるか?」についての課題にも踏み込んで検討する必要が出てきます。
最終候補には残るが、契約に進まない場合
この場合には、ビルについての問題というより人間関係について課題があるかもしれないと考えてみましょう。
①交渉・決断のスピードが遅い。
②クロージングが弱い。
などです。このような場合には、オーナーご自身の課題だけでなく、日頃から物件を紹介・営業している営業マンに対して「どのような条件ならこちらサイドが飲めて契約までの最後の一押しができるのか」など、意思疎通を図っておくことも有効と考えられます。
私たちエム・エス・ビルサポートでは、PM受託物件の状況を見極め、適切なリーシング活動を行うことで稼働率を上げていく戦略的なリーシングプランをご提案をいたします。